INTERVIEW
現場の声 インタビュー⑧
渭南病院言語聴覚士
有田 未来 氏
- 土佐清水市の好きなところ・魅力 -
土佐清水は大切な人たちがいる場所だから好きなんだと思っていました。
でも、ヨモギやイタドリを採りに山へ行ったり、家庭菜園をするようになって
季節の匂いを強く感じると、色々ひっくるめて、やっぱり土佐清水のことが好き
なんだなと、生まれ育ったこの町に帰ってきてから強く思うようになりました。
- 言語聴覚士のやりがいや想い -
元々は英語の教師になりたくて目指していましたが、大学3年のときに出会った
人たちや、身近な人たちの影響で、病気で学校に通うことができない子どもたちの
教育や療育に関わる仕事に出会い、言語聴覚士なら子どもから高齢者まで幅広い
方々に関わることができると思い目指すことになりました。
低年齢児から高齢者まで関わる仕事をしていますが、今はコミュニケーションに
関わることよりも、飲み込みや食べることへの支援が多くなっています。
療育の場面では、言葉よりも先に食べることへの課題が出るお子さんもいるので
1歳未満の離乳食から関わることもあります。
高齢の方では、最期まで好きなものを食べたいという希望を叶える場面に携わる
ことがあります。「食べる」ことに携わる中で、「あー美味しかった」「いい人生
やった」と思える最期に立ち会えることは幸せなことです。食べることには栄養を
摂ること以上に、楽しみや幸せ、生きがいも含まれているので「口からは無理」と
すぐ答えを出すのではなく、「これやったら食べれる」「どうしたら食べれる」を
本人の希望にできるだけ近づけ考えていきたいと思っています。
- 土佐清水市で働き感じる課題と困難さ -
土佐清水に戻り勤務するようになって10年が経ちました。10年前とは、
患者さんの年齢も院内の診療も変わってきています。療育で関わっている子ども
たちが10年後この町で自立して暮らしていくために、利用したり支えになる
ものはあるのか心配になります。障害や特性があっても困らないで暮らすことが
できる土佐清水がいいです。人口が減ると提供できるサービスは減り利便性は
下がります。これから先の土佐清水が、みんなが暮らしやすい町であり続ける
ことを考えたとき、人口減少の課題は大きいと思います。
一人で暮らす高齢者も多く、暑い中歩いて買い物に行く姿を見て「大丈夫?」
と声をかけても「そうするしかないけんね」との答えが返ってきました。
選びようがない現実をあきらめている家庭がたくさんあるのではないかと思います。
- 清水でやっていきたいこと -
病院に行くほどではないかもしれないけど、しんどい人や頑張っている人が、
気軽に相談できるようになるといいなと思います。病院勤務なので、基本的に
具合が悪くなって入院してから関わりが始まりますが、悪くなる前に何か私に
できることがないかなと考えます。
私自身、どのような機関がどのような支援をしているのか知らないことが
たくさんあります。近くに在るのに知らない、繋がれてない…と感じることが
あります。「人生をより良いものに」とチームで繋がって関われるようになって
いきたいな思います。
昨年、周りの人たちの協力や後押しのおかげで、公認心理士の資格を取得する
ことができました。現在、活躍の場を作ろうとしてくれている同僚や先輩にも
感謝しっぱなしです。「私にできることで困らない人が増えるなら、できることが
増えるのがいい」と思います。